あまりに突然・・・

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あまりに突然・・・

4月1日、満面の笑みを浮かべあいすくりーむの家に移ってこられたIさん(69歳)あまりにぎやかな場面より静かなお一人を好む方でした・・・ゆっくりとした時間をあいすくりーむの家で過ごしていただけると思っておりました・・・

急変したのは5月の連休中でした。食欲が落ち黄疸症状が診られ入院となりました。

胆のう炎(胆のう癌の疑いあり)とのことでしたが、疑いを検査することすらIさんには出来ませんでした。絶食にて点滴治療がはじまり入院中は出来るだけ職員が伺うようにし、声掛けをしていましたが、だんだん言葉が少なくなっていくのが分かりました・・・10日余りの点滴で状態は少しよくなってこられ一旦退院となりましたが、数日後に再入院をされこれ以上の治療は難しいですの説明にご家族も延命治療は望まれませんでした。

そして数日の入院が続き、点滴も入らなくなったとの連絡が入りましたので、あいすくりーむの家に帰っていただくことにしました。5月末、帰ってこられた頃はしっかりした意識の回復はなく、点滴、酸素吸入をされていましたが、肝機能の数値は良くなっており癌の疑いは消えていました。

職員はヨシッ!生きるための支援を・・・と考えたのは自然な気持ちからでした。「神戸行って、お寿司食べて、市場に行ってピン止め(ヘアーピン)買ってお姉ちゃん(職員の事)にあげる」Iさんの経験からよくお話しされていた想いを私たちは知っていたからです・・・

看護師は入りにくい点滴にチャレンジし、鼻腔栄養も始まりましたが、数日で鼻腔チューブをご自分で抜いてしまいました。 私たちはそれだけ元気になったと捉えたのですが、Iさん自身にはどうだったのでしょう?・・・そう思いながらも片方では栄養摂取に頭をかかえ、口腔からの栄養摂取も試みましたがなかなか進みませんでした。

そして、その時は突然に訪れました。8月5日早朝「急性心不全」でした・・・

「神戸行く!市場行く!ピン止め買うねん!お寿司食べる!」この想いは再び叶うことはありませんでした。Iさんの想いを叶えることができなかった私たちには、遣り切れない何かが残ってしまいました。このような思いを残さないためにも、よりご本人の事を知る努力を重ね笑顔で暮らせる日々を増やして行きたいと改めて感じております。     

Iさんから沢山の事を学ばせていただきました。職員の心の成長へも繋がりました。

Iさんへのご冥福をお祈りしながら、私たちは決してあなたのことを忘れません。

ありがとうございましたIさん・・・

                          

                                あいすくりーむの家  奥山智子 

                                    2018.09.05