ぽっちの創作活動その⑤~ J さんが描くまで~

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ぽっちの創作活動その⑤~ J さんが描くまで~

 

Jさんとはもう10年以上のお付き合いになります。

10年前、すたじおぽっちがまだ大地の家の創作クラブだった頃、

(今はなき、元乳児院だった場所を使わせていただいてました。)

Jさんもぽっちへ来られました。

 

 

実はJさん、当初は、

ぽっちではない就労系の作業所へ通うことも視野に入れてました。

毎朝のルーティンがあって、出勤時間には間に合わず、

まずはぽっちで生活リズムを整えましょう、ということに。

 

だから、初日。担当スタッフに連れられ来たものの

「絵は苦手です…」

「描きたくありません…」

そっと筆談で…、Jさんからの訴えでした。

ほんとそうですよね。当時を振り返って、ごめんなさい…

 

 

そう言われてしまって、さあどうしようか…と。

「Jさん、何しましょう?」

「Jさんはどんなことが好きですか?」からスタートしました。

 

この時までに約3年、大地で支援員として関わっていましたが、

改めてみて、こんな風に問いかけたことなかったな…と。

生活面で自立していたJさん、

スタッフの手を借りることも少なく=関わりも少なくなっていました。

 

そこから半年ほど、

本屋さんに行って好きな雑誌を選んでもらったり、

庭で四季折々の園芸を楽しんだり、

おいしいものを食べに行ったり。

 

 

 

 

オシャレが好き、めっちゃ食べる、責任感が強い、

意外と冗談も好き、よく笑い、よくしゃべる…

Jさんのいろんな一面を1つ1つ知っていきました。

 

 

 

で、ある日。

仲良しのFさんに誘われて、手で隠しながら小さなお花を描きました。

 

「きれいやね!」

 

周りの反応が後押しし、

そこからJさんの世界が広がっていきました。

 

始めは小さなメモ用紙。

次は色紙。

その次は画用紙…

 

 

 

 

(…寝てる!?)

 

 

小さなお花がほんとたくさん!

絵とともにいろんな表情も引き出されていきました。

 

 

お花を描くこと7年。

そして…

 

「自画像」をテーマにした作品展をきっかけに

さらなる変化を遂げられます。

 

 

 

↑ こちらが「自画像」…

 

 

 

 

 

7月に描き始めた「ひまわり」は12月に完成しました。

 

 

 

 

これは「いちご」。

3月に描き始めて完成したのは9月。

 

 

じっくりゆっくり広がるJさんの世界。

あの当時、作業所に行っていたらもっと違う世界もあったかも…

時々、頭をよぎります。

 

1度しかない人生。

じっくりゆっくりなJさんだからこそ、

1つの選択の重さに支援員として責任も感じます。

 

今は、笑顔で過ごせる毎日を大切に、

じっくりゆっくり進む時間を一緒に味わいたいと思います。

 

 

あと何枚描けるんかなぁ…